皆さま、こんにちは。宮司の直井です。
神社にお参りした際や、大切な方から贈り物をいただいた時、「手元にいくつも御守りがあって大丈夫だろうか?」と不安に思ったことはありませんか。
「神様同士が喧嘩してしまうから、一つに絞らなければいけない」 「たくさん持っていると、神様がへそを曲げてご利益が薄れてしまう」こうしたお話を耳にすることもありますが、結論から申し上げますと、御守りは複数持っても、全く問題ありません。
今回は、神職の視点から、御守りの本当の役割と、数よりも大切な向き合い方についてお話しさせていただきます。
神様は喧嘩をしない「和」の存在
一番多くいただくご質問が「神様同士の喧嘩」についてです。しかし、日本の神道には八百万(やおよろず)の神という考え方があります。
日本には古来より、あらゆるものに神様が宿り、八百万の神々が互いに協力し合って、この世界を形作っているという信仰があります。神様の世界は和を尊ぶ世界です。例えば、安産祈願の神様と、厄除けの神様、そして商売繁盛の神様が、一人の人間を守るために集まったからといって、そこで争いが起きることはありません。
むしろ、神様たちが手を取り合って、チームを組んであなたを守ってくださると考えてみてください。それぞれの神様が得意な分野で、あなたを幾重にも守護してくださる。そう考えると、とても心強いことだと思いませんか。
御守りは神様とあなたをつなぐ「アンテナ」
ここで、御守りの性質について少しお話ししましょう。実は、御守りそのものの中に神様が住んでいたり、閉じ込められていたりするわけではありません。
御守りは、いわば神様の世界と私たちの世界をつなぐための高感度な“アンテナ”のような存在です。
私たちが日々、御守りを身につけたり、ふと目にしたりすることで、意識が神様の方へと向く。その瞬間、御守りというアンテナを通じて、神様からの清らかなエネルギーや守護の力があなたに届くようになります。
アンテナは、一つよりも複数あるほうが、より多くの周波数を拾うことができ、より広い範囲をカバーできますよね。それと同じで、複数の神社の御守りを持つことは、あなたの周囲にいくつもの守護の回線が引かれているようなもの。決して重荷になるようなものではないのです。
大切なのは数ではなく「心の通わせ方」
御守りを複数持つ際に、唯一気をつけていただきたいことがあります。それは、数が増えることで、一つひとつへの感謝や敬う気持ちが薄れてしまうことです。
御守りは単なるラッキーアイテムではなく、神様との絆の証です。もし、引き出しの奥に放りっぱなしにしていたり、どこに置いたか忘れてしまったりするほど数が増えてしまったなら、それはアンテナが埃をかぶってしまっている状態かもしれません。
- 「この御守りは、あそこの神社でいただいたな」
- 「これはあの人が私のことを思って贈ってくれたものだ」
そうやって、授かった時のご縁や、贈ってくれた方の真心に思いを馳せることができているならば、たとえ10体持っていたとしても、神様が不機嫌になることはありません。むしろ、それだけ多くの絆があることを喜んでくださるでしょう。
現代の暮らしに寄り添う御守りの形
最近では、御守りの持ち歩き方も多様になっています。特に若い方から「透明なスマホケースの裏に御守りを入れてもいいですか?」と聞かれることがあります。
宮司としての私の答えは、大歓迎です。
御守りにとって一番寂しいのは、暗い場所に忘れ去られてしまうことです。いつも持ち歩くスマホと一緒にあり、ふとした瞬間に御守りが目に入る。そして「あ、神様が見守ってくれているんだな」と、ほんの一瞬でも心が穏やかになったり、背筋が伸びたりする。そのこと自体が、最高のご利益と言えるでしょう。
鞄につける、財布に入れる、あるいはスマホケースに納める。どのような形であれ、あなたが神様を近くに感じられる場所に置いていただくのが、アンテナの感度を一番良くする方法です。
願いの種類が重なってもいいの?
「安産のお守りを、違う神社で2つもらったけれど大丈夫?」というケースもよくありますね。
これも心配いりません。複数の神社で同じ願いをすることは、多くの神様から応援をいただいているということです。もし気になるようであれば、肌身離さず持つものを一つ決め、もう一つは自宅の清潔な場所(神棚や目線より高い場所)にお祀りしておくのもよいでしょう。
結びに
御守りは、神様との絆を形にしたものです。 数が多くなったということは、それだけ多くの神社とご縁があり、あるいはそれだけ多くの人から大切に思われているという証拠でもあります。
喧嘩をしないだろうか、と不安になるよりも、こんなにたくさんの神様が応援してくれている!と明るく前向きな気持ちで過ごすこと。その清々しい心こそが、神様が最も喜ばれるものであり、願いを叶えるための大きな力になります。
どうぞ安心してお持ちになり、日々の暮らしを神様と共に歩んでいってください。