七・五・三という数字に込められた意味とは?日本の数霊(かずたま)が語る子どもの成長

七五三(しちごさん)は、3歳・5歳・7歳の子どもが神社で成長を感謝し、これからの健やかな日々を祈る行事です。
しかし、なぜこの「七・五・三」という数字なのか――。
実はこの数字の並びには、古来の日本人が大切にしてきた数霊(かずたま)の考え方が息づいています。
今回は、七五三の数字に込められた意味を、神道の視点からひもといていきます。

奇数は「陽」の数、神聖な力をもつ

日本の文化では、古くから「奇数=陽」「偶数=陰」とされてきました。
奇数は増え続ける性質をもち、「発展」「生成」「生命力」を表すと考えられています。
たとえば、正月(1月1日)や桃の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、七夕(7月7日)、重陽(9月9日)――いずれも奇数が重なる日が祝いの日となっています。

七五三もその延長にある行事であり、「七」「五」「三」はすべて奇数、すなわち陽の数。
陽の力が満ちる数字を重ねることで、子どもの生命力や運気の上昇を祈るという意味があるのです。

三・五・七、それぞれの数霊の意味

神道や古代日本の数霊観では、数字にはそれぞれ固有の「はたらき」があるとされます。
七五三に使われる三つの数は、どれも成長の段階を象徴しています。

三(み):生成・はじまりの数
天・地・人の三界を整える調和の数字。
生命が形を成し、世界に存在を確立する段階を意味します。
3歳の祝い(髪置)は、子が人として社会に立つ「はじまり」の時期にあたります。

五(いつ):中心・安定の数
五行(木火土金水)や五体(頭・両手・両足)を表し、宇宙の中心・調和の働きを示します。
5歳の祝い(袴着)は、心身の成長とともに自我が芽生え、社会性を学び始める節目です。

七(なな):完成・霊性の数
七は古来より「神聖な完成数」。
七曜・七福神・七日詣などにも使われ、物事が整い、次の段階へと進む意味を持ちます。
7歳の祝い(帯解)は、子どもが一人前の人格として社会の一員となる「完成」の時期とされています。

このように、三→五→七は「生成 → 成長 → 成熟」という生命の道のりそのものを表しているのです。

七・五・三が並ぶことで生まれる祈りの形

七五三という言葉をひとつの「数の言霊」として見ると、非常に美しい構成になっています。
三・五・七はすべて奇数であり、数が上がるごとに「陽の力」が強まっていく。
つまり七五三は、「命がより明るく、より高みに成長していく」ことを象徴しているのです。

また、3+5+7=15。
七五三の日である11月15日は、この合計数とも一致します。
これは偶然ではなく、古くから数霊的に整えられた日であり、陰陽の調和がもっとも美しく整う時期とされてきました。
(「1」は始まり、「5」は中心、「15」は完成を意味するため、特に縁起の良い数の並びといわれます。)

数の祈りは言霊の祈り

古来、日本人は数字を単なる記号ではなく、「ことば」と同じく霊的な響きを持つものと感じてきました。
これが「数霊(かずたま)」の考え方です。

七五三という三つの陽数を重ねた祈りは、
「子どもの命がこの世で力強く輝き、成長を続けるように」
という願いそのもの。
数の響きには、言葉と同じく祈りの波動が宿るとされます。

神社での七五三は、こうした数の力を背景に、親子が神前で心を合わせる神聖な儀式なのです。

まとめ

七五三の「七」「五」「三」は、単なる年齢ではなく、
古代から受け継がれてきた日本の数の思想そのものを映しています。
三は「はじまり」、五は「安定」、七は「完成」。
そしてその三つを合わせることで、生命の循環と成長の道が一つに結ばれます。

子どもの成長を喜ぶ日――それは同時に、数の祈りを通して命の尊さを再確認する日でもあります。
神さまに感謝しながら、「七・五・三」という数字の美しい響きに耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。