弥生月次祭祝詞公開

3月は、寒さの名残の中にも光が明らかに増し、草木の芽吹きとともに門出の気配が満ちてくる月です。
卒業、旅立ち、新生活。別れと始まりが重なり合うこの時季に、今年の弥生の月次祭では「明るく道が開けること」を一つの主題としました。

また3月は、桃の節句を迎える月でもあります。
古くから女児の健やかな成長と幸せを祈るこの節句にちなみ、今回は門出を祝う祈りに寄り添う存在として、日本神話に登場する女神たちの御力を言葉の中にそっと重ねました。

忍ばせた六柱の女神

・明る:阿加流比売神(アカルヒメ)

「赤い珠」から生まれた輝きの女神。
冬を越え、ぐんぐんと明るさを増す三月の太陽のように、私たちの前途を明るく照らし出します。

・下照る:下照比売命(シタテルヒメ)

その美しさが空から地上までを照り輝かせたという女神。
万葉集にある「桃の花 下照る道」の情景と重ね、春の光が地上の隅々まで届く姿を表しています。

・咲くやこの花:木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)

桜や花そのものを象徴する女神。
一気に花ひらく春の勢いと、願いが形になろうとする生命力をこの言葉に込めています。

・桃襲(ももがさね):倭迹迹日百襲姫命(モモソヒメ)

香川にも深い縁を伝える、知恵と祈りの女神。
「桃襲」を「ももそ」と読ませ、御名を忍ばせながら、幾重にも重なる百の幸福を祈念しています。

・豊玉の:豊玉姫(トヨタマヒメ)

海の彼方から玉を携えて現れる、水と豊穣の女神。
「豊玉の波寄せ」とすることで、春の海のように静かに運ばれてくる恵みと、人生の節目に寄せる豊かな導きを表しました。

・玉依り:玉依姫(タマヨリヒメ)

神意を受け、祈りを宿す女神。
「玉依る祈り重ねて」という言葉には、一人ひとりの願いが神意に寄り添い、静かに積み重なっていく姿を託しています。