夏至の光が示す神々の道|鹿島〜高千穂レイラインの秘密

夏至は一年でもっとも昼が長く、太陽の力が頂点に達する日。その光は、かつて古代人にとって神意の道しるべでした。「レイライン」とは、この夏至や冬至など特定の太陽の方向に聖地が直線状に並ぶ現象を指します。日本各地には、太陽と神々を結ぶ神秘の「光の軸」が息づいています。

鹿島神宮〜高千穂峰:夏至の光が貫く日本列島

このレイラインの代表格として語られるのが、「鹿島神宮〜高千穂峰」のラインです。茨城県・鹿島神宮の「東の一の鳥居」から昇る夏至の朝日。その光の延長線上には、日本の霊峰・富士山、皇祖神を祀る伊勢神宮、そして天孫降臨の地・高千穂峰が位置しています。

この直線は、単なる地理的な偶然ではないと考える人も多く、古代の人々が太陽の動きと神々の意志を感じ取りながら、重要な拠点を定めたともいわれています。

鹿島神宮の鳥居から見た朝日が、やがて南西へと伸びる光となり、伊勢を経て高千穂へ。それはまるで、天照大御神から瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)へと繋がる“神々の道”をたどるかのようです。

伊弉諾神宮の“陽(ひ)の道しるべ”石板

淡路島の伊弉諾神宮には、境内に「陽の道しるべ」と呼ばれる石碑が設置されています。そこには、夏至や冬至、春秋分の日の出入り方角に沿って日本各地の重要な神社が並ぶ配置が示されているのです。

石碑に記されている概要は以下の通りです:

  • 夏至:日の出が「諏訪大社」方面、日の入が「出雲大社」方面。
  • 冬至:日の出が「熊野那智大社」方面、日の入が「高千穂神社」方面。

鹿島神宮ラインとは異なる方向軸ですが、いずれも太陽と神々の関係性が刻まれた神聖な光路です。

伊弉諾神宮発の別レイラインも

さらに伊弉諾神宮を中心に春分・秋分に伊勢神宮からの陽光が昇り、対馬・海神社へ沈むラインが描かれており、西に向かう太陽軌道上には出雲や高千穂などの聖地が位置します。これにより、伊弉諾神宮は夏至/春秋分/冬至のいずれの太陽の方向とも深く結びついていることがわかります。

レイラインを夏至に感じるひととき

夏至の日、今日の太陽の向きを感じながら手を合わせてみませんか? 鹿島、伊弉諾、伊勢、熊野、高千穂、出雲——これらの神々と聖地の名が、心の中でそっとつながっていくことでしょう。そして、その道筋の先に見え隠れする「古の神意」に想いを馳せてみてください。

当神社では、夏至の太陽に祈りを込めたご祈祷や朝拝のご案内も可能です。自然と神々の息吹を感じるこの日に、一緒に光のラインを辿ってみませんか。