日本神話のなかでも、特に“導き”にまつわる重要な役割を担う神がいます。それが猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)です。天孫降臨の物語に登場し、道案内を務めたこの神は、古来より「道の神」として篤く信仰され、現代では交通安全の神としても知られています。
今回は、猿田彦大神の神話からその御神徳、天児屋根命との関係、そして丸亀春日神社でのご信仰と車祓い・御守りについてまでご紹介いたします。
◆ 天孫降臨を導いた「道の神」猿田彦大神
猿田彦大神は、日本最古の歴史書『古事記』や『日本書紀』に登場する神で、天照大御神の命を受けて高天原から地上に降りる**瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)**を先導したことで知られています。
神話では、地上と天の境にまばゆい神が立っていたとされ、それが猿田彦大神。自ら正体を明かし、天孫一行を安全に導いたことから、**“道開き”“導きの神”**として崇敬されるようになりました。
◆ なぜ交通安全の神とされているのか?
猿田彦大神の神格は、「道を正しく導く」という神話的な働きに由来します。古くは旅の安全や方角除けの神とされましたが、時代が進み、社会が車社会へと変化するとともに、「道=交通」という解釈が生まれました。
その“導きの神”としての存在は、実は現代の暮らしにもさまざまな形で息づいています。たとえば、人気のカフェチェーン**「猿田彦珈琲」**の店名も、まさにこの神に由来しています。
一杯の珈琲が、誰かの一日を良い方向へと導いてほしい――そんな願いを込めて、「猿田彦」という名が選ばれたのだそうです。
この流れにより、現代では猿田彦大神は交通安全の守護神として多くの神社で信仰され、特に車祓いの祈祷でその御神徳をいただくことが一般的になっています。
◆ 天児屋根命と五伴緒という神々
猿田彦大神とともに注目すべき神がいます。それが、祝詞を司る神**天児屋根命(あめのこやねのみこと)**です。
神話では、猿田彦大神が道案内を終えた後、天の神々から功績を称えられ、五柱の神々を随行者として与えられました。これが**「五伴緒(いつとものお)」**であり、その筆頭が天児屋根命です。
天児屋根命は、言霊・言葉・祈りを象徴する神であり、猿田彦大神の“行動による導き”と対をなす“言葉による導き”の神とされています。この両神の存在は、今でも神社における祈願や祭礼の根本的な構造を支えています。
◆ 丸亀春日神社と「道」の御守り
香川県丸亀市に鎮座する丸亀春日神社では、猿田彦大神と天児屋根命の二柱が深く関わる神々として大切にされています。特に、現代における交通安全祈願の一環として、車祓いのご祈祷が丁寧に行われていることで知られています。
さらに注目すべきは、授与されている特別な御守り――

◉出雲文字で「みち」と記された交通安全御守り
この御守りには、古代の霊力が込められたと言われる「出雲文字(神代文字)」で「みち」と記されており、単なる交通安全だけでなく、「人生の道」「心の道」までも導く祈りが込められています。
この「みち」の文字は、猿田彦大神の象徴そのものであり、持ち歩くことで神の加護が常にそばにあると信じられています。
◆ 車祓いという“現代の神事”
丸亀春日神社では、新車購入、免許取得、長距離運転の前などに車祓いを受けに訪れる方が多くいます。神前で丁寧な祝詞が奏上され、猿田彦大神と天児屋根命のご加護をいただきながら、車両と運転者の安全が祈願されます。
お祓い後には、「みち」の御守りを受け、常に車に携えて運転することで、日常のなかでも神様の存在を意識できると評判です。
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◆ おわりに ― 道を正し、道を祈る
猿田彦大神は、古代から「導きの神」として日本人に寄り添い続けてきました。
そして、天児屋根命とともに、祈りと行動の両面から“正しい道”を支えてくれる存在です。
現代の交通社会において、ただ車を安全に運転するだけでなく、心を整え、命を大切にするための「道の祈り」がますます求められています。
丸亀春日神社の車祓いと「みち」の御守りは、まさにその願いを形にしたもの。
皆さまの道が、常に清らかで、明るく、安全であるように――
猿田彦大神と天児屋根命のご神徳を、ぜひこの地でお受けください。