この月次祭祝詞は、七夕の古い風習と、諏訪信仰の象徴を重ね合わせながら、願いと祓いを主題として構成しました。
文月は古く「文披月(ふみひらきづき)」ともいわれ、七夕には梶の葉へ和歌や願いを書き、里芋の葉に宿る露で墨をすって神々へ奉る風習がありました。この古式に倣い、人々の真心が神々へ届くよう願いを込めています。
また、梶の葉は諏訪大社の社紋にも用いられていることから、本祝詞では七夕の風習に加え、諏訪信仰の要素も重ね合わせました。「天より洩れたる神矢」は、諏訪に伝わる洩矢神を思わせる掛詞として用い、「日の本を固むる四方の御柱」は、諏訪大社四社に建てられる御柱になぞらえた表現です。天地を結ぶ神の柱のように、人々の心と国土が揺るぎなく支えられることを願っています。
結びでは、七夕の願いを天へ奉るだけでなく、心に積もる憂いや罪穢れを天つ海へ流し去り、清らかな心で新たな歩みを始められるよう願っています。「科戸の風の清々に吹き祓ひ給ひ」「罪穢れを天つ海へと押し放ち」という一節は、大祓詞に見られる、科戸の風が罪穢れを吹き払い、大海原の彼方へと流し去るという祓いの思想を踏まえた表現です。七夕の祈り、神道の祓いの精神、そして諏訪信仰を一つの祝詞に織り込み、文月の月次祭にふさわしい祈りとしました。